東北大学災害科学国際研究所災害医学研究部門 災害公衆衛生学分野

妊娠前半期の母体空腹時血糖値と子どもの発達特性との関連に関する論文が掲載

 発達遅延は言語、社会的行動、生活に必要な能力が生活年齢から予想される平均的な状態よりも遅れていることを指します。これまで妊婦の糖尿病または妊娠糖尿病は子どもの発達遅延のリスクを高めると報告されていましたが、妊娠前半期(妊娠24週未満)の空腹時高血糖や低血糖の児の発達遅延への関連は検討されていませんでした。本研究では妊娠前半期の空腹時血糖値とお子さんの発達遅延との関連について検討しました。
 本研究では、三世代コホート調査に参加いただいている1,541組の妊婦さんとその妊婦さんから生まれた2歳時点のお子さんを調査対象としました。関連について検討した結果、妊娠前半期の空腹時血糖値が70mg/dL以下の群でお子さんの発達遅延リスクが低いという関連がみられましたが、妊娠前半期の空腹時血糖高値とお子さんの発達遅延との間には関連はみられませんでした。過度な低血糖は母体へのリスクもあるため、妊娠中の70mg/dL以下の血糖値と児の発達遅延との関連については今後も慎重な検討が必要と考えます。

【書誌情報】
タイトル:Maternal Fasting Plasma Glucose Level in Early Gestation and Developmental Delay in 2-year-old Children
著者名:Chikana Kawaguchi, Mami Ishikuro, Ryota Saito, Keiko Murakami, Aoi Noda, Genki Shinoda, Misato Aizawa, Hisashi Ohseto, Noriyuki Iwama, Masatsugu Orui, Taku Obara, Shinichi Kuriyama
掲載誌:The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
掲載日:2025年1月20日
DOI:10.1210/clinem/dgae825
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39832134/